階段を降りると膝が痛いのはなぜ?「痛む瞬間」と4つの確認ポイント

「階段を上るときはそれほど気にならないのに、降りると膝が痛い」

「歩くのは大丈夫。でも階段の下りだけ膝にズキッとくる」

「最近、階段を降りるときに手すりを持つようになった」

このようなお悩みはありませんか?

こんにちは。池田市のオアシス整骨鍼灸院、院長の三木です。

膝の痛みで来院される方のお話を聞いていると、

「普通に歩くのは大丈夫なんです。でも階段を降りるときが痛いんです」

というご相談は珍しくありません。

先にお伝えすると、階段を降りるときの膝痛は「太ももが弱いから」など、一つの原因だけで説明できるとは限りません。

階段を降りる動作では、上の段に残った脚で身体をゆっくり支える場面と、下の段に足が着いて体重を受ける場面があります。

そして、同じ「階段を降りると膝が痛い」という症状でも、痛みが出ている瞬間は人によって違います。

そこで私がまず確認したいのが、

「痛い膝が、どんな役割をしているときに痛むのか?」

ということです。

まずは「どの瞬間に痛むのか」を確認することが、ご自身の膝の状態を考える第一歩になります。

まず確認したいのは「どの瞬間に痛いのか」

例えば右膝が痛い場合を考えてみましょう。

① 右脚で身体を支えながら、左脚を下へ伸ばしているときに右膝が痛む

このとき右脚は、片脚で身体を支えながら、身体が一気に下へ落ちないようにコントロールしています。

私の臨床では、「痛い方の脚で身体を支えながら、反対の脚を下ろすときに痛い」と訴える方をよくみます。

② 右脚を下の段へ出して、右足に体重が乗り始めるときに右膝が痛む

こちらは、下へ移動してきた身体を右脚で受け止める場面です。

同じ「階段の下りで右膝が痛い」でも、身体をゆっくり下ろしているときに痛むのか、足が着いて体重を受けるときに痛むのかでは、膝に求められている役割が少し違います。

階段を降りると膝が痛む方は、一度、「自分はどの瞬間に痛いのかな?」と確認してみてください。

階段を降りる際に膝で身体を支えているときと、足が着いて体重が乗るときの痛みの違い

支持している膝が痛むとき、太ももは何をしている?

ここからは、私が臨床でよくみる、痛い方の脚を上の段に残し、反対脚を下へ伸ばしているときに痛むケースを中心にお話しします。

階段を降りるとき、上の段に残っている脚は、ただ立っているわけではありません。

反対脚を一段下へ伸ばしながら膝を少しずつ曲げ、身体が一気に落ちないようにコントロールしています。

ここで重要な働きをする一つが、太ももの前側にある大腿四頭筋です。

大腿四頭筋は、身体が「ドスン」と落ちないようにブレーキをかけるように働きます。

専門的には、筋肉が力を出しながら徐々に伸ばされる遠心性収縮(エキセントリック収縮)という働きです。

そのため、「普通に歩けるけれど、階段の下りだけつらい」ということは十分に起こり得ます。

ただし、階段で膝が痛いからといって、必ずしも「太ももの筋力が弱い」とは限りません。

太ももの働きだけでなく、足首の動きや股関節、体幹、痛みに対する身体の反応などが組み合わさっていることもあります。

そのため私は、最初から「太ももを鍛えましょう」と決めるのではなく、実際のステップ動作を確認するようにしています。

階段を降りる際に上の段に残った脚の太もも前側で身体をゆっくり支えるイメージ

支持している膝が痛む方に確認したい4つのポイント

ここからは、ご自身でも確認しやすいポイントをご紹介します。

ただし、これは自分で原因を診断するためのテストではありません。

「左右で何か違うかな?」「どんな動きで痛みが変わるかな?」くらいの気持ちで確認してください。

痛みが強い方や、転倒が不安な方は無理に試さないでください。

① 身体をゆっくり下ろせますか?

安全な低い段差があれば、壁や手すりなど安定したものにつかまりながら、片脚を段差に残して反対側のかかとを床へ近づけてみてください。

できれば、3秒くらいかけてゆっくり身体を下ろします。

左右を比べると、

「右脚ではゆっくり降ろせるけれど、左では途中からドスンと落ちる」

「ゆっくり下ろそうとすると膝が痛い」

といった違いに気づくことがあります。

こうした違いは、太ももを含めた身体をゆっくり支える能力を考える一つのヒントになります。

ただ、これだけを見て「大腿四頭筋が弱い」と判断することはできません。

痛みがあることで力を出しにくくなっていることもあります。

まずは、「右と左で違うな」と気づくだけでも十分です。

② 足首は前へ動きますか?

「膝が痛いのに、なぜ足首を見るの?」と思われるかもしれません。

階段を降りるときには、支持している脚の足首も動いています。

足を段につけた状態で、すねが前へ進むことで足首が曲がります。

足首の動きが小さい場合、膝や股関節など別の場所で動きを補っていることもあります。

簡単に確認するなら、壁の前に立って、かかとを床につけたまま、膝をゆっくり前へ出してみてください。

左右で同じ条件にして比較します。

「右だけすぐにかかとが浮く」

「左だけ足首の前が詰まる」

など、違いはないでしょうか。

ただし、足首に左右差がある=それが膝痛の原因ではありません。

左右差があることと、その違いが実際の階段動作に影響していることは別です。

院では、その足首の動きを変えたときに、ステップ動作や膝の症状まで変化するのかを確認していきます。

階段下降時の支持脚の足首の動きと左右差を確認する方法

③ 片脚になったとき、身体はどう動いていますか?

階段を降りる瞬間は、一時的に片脚で身体を支える時間があります。

ここでは膝だけではなく、股関節や体幹も一緒に働きます。

実際にステップ動作を見ていると、

片側だけ身体が大きく横へ傾く。

骨盤の動きが左右で違う。

膝やつま先の向きが変わる。

といった違いが見つかることがあります。

ただ私は、それを見ただけで「姿勢が悪いですね」「股関節が弱いですね」とは決めません。

膝が痛いから、身体が無意識に痛みを避ける動きを選んでいる場合もあるからです。

人の身体は、痛みがあると別の関節や筋肉を使って、その場を何とか乗り切ろうとします。

ですから、形だけを見て「良い・悪い」を決めるのではなく、その動きを少し変えたときに痛みがどう変化するかを見るようにしています。

④ 足の置き方や身体の位置を変えると、痛みは変わりますか?

「膝が内側に入っていますね」と言われた経験がある方もいるかもしれません。

確かに、階段を降りるときの膝やつま先の向きは確認します。

でも私は、膝が少し内側へ動く=悪いとは考えていません。

見るのは、その動きと痛みが本当に関係しているのかです。

例えば、

足の位置を少し変える。

身体の位置を少し変える。

少しゆっくり降りてみる。

そうすると、「この方が少し楽です」ということがあります。

逆に、「全然変わらない」「むしろ痛みが強くなった」という場合もあります。

どれも大事な情報です。

私が見たいのは、見た目がきれいな「正しいフォーム」になっているかどうかだけではありません。

何を変えると、その方の症状がどう変化するのか。

そこから考えていきます。

階段の降り方を少し変えたときに膝の痛みがどう変化するかを確認するイメージ

反対に「下の段へ着いたとき」が痛い場合は?

痛い膝を上の段に残して身体を下ろしているときは大丈夫。

でも、その脚を下の段へ出し、体重が乗り始めると痛いという方もいます。

この場合も、「太ももが弱いから」と一括りにはできません。

足が着いた直後なのか。

体重が乗ってからなのか。

どの角度で痛むのか。

膝に腫れや引っかかりがないか。

など、支持側で痛むケースとは少し違った視点も必要になります。

このタイプの方は、ここまで紹介した4つのチェックを無理に当てはめる必要はありません。

足が着く瞬間や体重が乗るタイミング、膝の状態など、別の情報も含めて考えることが大切です。

チェックしてみて、どうでしたか?

ここまで読んで、

「私は右脚で身体を支えているときに痛い」

「左脚だけゆっくり身体を下ろしにくい」

「右足首だけ動きにくい」

「足の位置を変えると少し痛みが違った」

など、何か気づいたことがあったでしょうか。

それだけでも十分なお土産です。

ただ、「私は足首が悪い」「私は太ももが弱い」と、一つの原因に決めないでください。

実際には、身体をゆっくり支えにくいこと、足首の左右差、痛みを避けるための身体の使い方など、いくつかの要素が重なっていることがあります。

だからこそ、

「どこが悪い?」だけでなく、「どの瞬間に痛くて、何を変えると症状が変わる?」

という視点を持ってみてください。

身体の使い方だけで考えない方がよい症状もあります

ここまで動作についてお話ししてきましたが、すべての膝痛を「身体の使い方」で説明できるわけではありません。

次のような場合には、まず整形外科などの医療機関で膝の状態を確認してください。

  • 転倒や捻りなど、明らかなきっかけがある
  • 膝が大きく腫れている
  • 赤みや強い熱感がある
  • 体重をかけることが難しい
  • 膝が引っかかって動かなくなる
  • 曲げ伸ばしが急にできなくなった
  • 安静にしていても強く痛む
  • 日を追うごとに症状が悪化している

また、何週間も痛みが続いている、以前より歩ける距離が短くなっている、階段以外の日常生活にも支障が出ている場合も、一度医療機関で確認しておくことをおすすめします。

なお、変形性膝関節症でも、立ち上がりや歩き始め、階段の昇り降りなどで膝の痛みが出ることがあります。

病院で変形性膝関節症と診断されている方や、膝の変形について詳しく知りたい方は、上記のページも参考にしてください。

「太ももを鍛えればいい」で終わらせない

膝の痛みがある方は、「太ももの筋肉を鍛えましょう」と言われることが多いと思います。

大腿四頭筋を含めた脚の筋力はもちろん重要です。

ただ、階段を降りる動作では、強い力を出すことだけではなく、身体をゆっくり支えることも求められます。

さらに、足首・股関節・体幹・足元・膝関節そのものの状態など、確認したいポイントは人によって違います。

だから、「膝が痛いから、とにかく膝伸ばし運動をたくさんやろう」ではなく、

まず自分が階段のどの瞬間で困っているのかを整理する。

そこから必要な運動を考えた方がいいと私は思っています。

オアシスでは「痛い場所」だけでなく「痛い瞬間」を確認します

オアシス整骨鍼灸院では、「右膝が痛いですね。では右膝を施術しましょう」だけで終わらせないようにしています。

例えば「階段を降りると右膝が痛い」という方なら、

右脚で身体を支えて左脚を下ろすときなのか。

それとも、

右脚を下の段へ出して、体重を受けたときなのか。

まずそこから見ます。

必要に応じて、

  • 普段通りステップを降りてもらう
  • ゆっくり身体を下ろしてもらう
  • 足を置く位置を変える
  • 足首や股関節の動きを確認する
  • 身体の位置を少し変える
  • 普段履いている靴を見る

といったことを行います。

そこで、「この降り方だと少し楽ですね」という変化が出れば、それも一つの評価材料になります。

一方、何を変えても痛みが変わらない場合には、身体の使い方だけでは説明できない可能性も考えます。

私が知りたいのは、見た目が「正しいフォーム」かどうかだけではありません。

その方が、なぜその瞬間に痛いのか。

そこを一緒に整理することを大事にしています。

オアシス整骨鍼灸院で段差動作と足元を確認している様子
段差動作では、膝だけでなく足首や足元、身体の支え方なども確認します。

初回にどのような検査や動作確認を行うのか気になる方は、施術の流れもご覧ください。

階段が怖くなってきた方へ

膝が痛くなると、「また痛くなるかもしれない」という不安から階段を避けるようになることがあります。

駅ではエレベーターを探す。

旅行先で階段が多くないか気になる。

外出そのものが少し億劫になってしまう。

膝痛でつらいのは、痛みの強さだけではなく、こうして少しずつ生活の選択肢が狭くなっていくことだと私は感じています。

階段を降りると膝が痛む方は、次に階段を使うとき、

「膝が痛い」だけではなく、「その膝はどんな役割をしているときに痛いんだろう?」

と一度考えてみてください。

そして、

「どこが悪いのか?」だけではなく、「何をすると痛くて、何を変えると楽なのか?」

という視点も持ってみてください。

ご自身ではよく分からない、痛みが続いているという場合には、無理に自己判断する必要はありません。

オアシス整骨鍼灸院でも、膝の状態だけでなく、実際の歩行やステップ動作、足首・股関節、足元や靴まで必要に応じて確認しています。

普段よく履いている靴があれば、その靴を履いてお越しいただくか、ご持参いただくと普段の状態を確認しやすくなります。

来院前に費用や施術内容を確認したい方は、料金・施術メニューをご確認ください。

池田駅からの道順や駐車場については、アクセスページをご確認ください。

この記事を書いた人

オアシス整骨鍼灸院 院長 三木高志

三木 高志
オアシス整骨鍼灸院 院長
柔道整復師・鍼灸師

膝・足・股関節など「歩くと痛い」というお悩みに対して、痛む場所だけでなく、実際に症状が出る動作や歩行、足元、靴なども含めて状態を確認しています。

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参考資料

※この記事は一般的な医学・運動学的情報と、オアシス整骨鍼灸院での臨床経験をもとに解説しています。個々の症状を診断するものではありません。