靴下が履けない・歩くと股関節が痛む70代男性の症例
HIP CASE 04 / 股関節の症例
朝、靴下を履こうとすると
股関節の付け根がズキッと痛む。
歩いているときの違和感から始まり、半年以上続いた右股関節の痛み。靴下を履くことも、足の爪を切ることも難しくなっていた70代男性の施術経過をご紹介します。

※実際の症例に基づく紹介です。個人が特定されないよう年齢は年代で表示しています。経過は一例であり、同様の結果を保証するものではありません。
この症例で見られた生活動作の変化
※施術を重ねる中での変化です。8回目で歩き方の課題がすべてなくなったわけではありません。
この症例の概要
半年以上続く右股関節の痛みで、靴下を履くことや足の爪を切ることが難しくなっていた70代男性の症例です。
初回は股関節の内旋制限(約15°)、中殿筋の筋力低下、歩行時の骨盤の右スウェイなどを確認しました。股関節周囲への施術と運動療法を進め、6回目には靴下を無理なく履けるようになり、8回目には足の爪切りもできるようになりました。現在は月1回の通院となっています。
来院時に困っていたこと
朝、靴下を履こうとして脚を身体へ引き寄せると、股関節の付け根に痛みが出ていました。足の爪を切ることも難しい状態でした。
身の回りの動作
靴下を履けない・爪が切れない
股関節を深く曲げると詰まり感があり、足を身体へ引き寄せられない。
歩くときの痛み
右足をついた瞬間にズキッ
歩行中、右足へ体重がかかる瞬間に鼠径部(足の付け根)が痛む。
半年以上続いていた右股関節の痛み
最初に感じたのは、歩いているときの右股関節の違和感でした。それが少しずつ痛みに変わり、朝の靴下や足の爪切りにも支障が出るようになりました。
整形外科ではレントゲンとMRI検査を受け、医師からは軽度の変形性股関節症の可能性について説明され、経過観察となっていました。
当院では診断名だけで判断せず、実際にどの方向へ動かすと痛むのか、歩くときにはどんな身体の使い方になっているかを調べました。
初回に確認した3つのこと
股関節の動き、周囲の筋肉、歩行中の骨盤の動き。これらを分けて見ていくと、いくつかの特徴がありました。
CHECK 01
股関節の動き
曲げると鼠径部が詰まり、内旋は約15°。内側に寄せてひねる動き(内転・内旋)で最も強い痛みが出ました。外転・外旋にも軽い硬さがありました。
CHECK 02
お尻・太ももの筋肉
中殿筋の筋力低下と、大殿筋下部を働かせにくい様子がありました。右大腿筋膜張筋と大腿四頭筋には過緊張がみられました。
CHECK 03
歩き方と骨盤の動き
片脚で支える際の骨盤の傾き(トレンデレンブルグ徴候)、骨盤が右へ流れる動き、つま先を外へ向ける歩き方がみられました。

※これらは当院で確認した身体・動作上の所見です。特定の病気や痛みの原因を、この所見だけで断定するものではありません。
詰まり感への施術から、歩くための運動へ
初めから歩き方の練習を中心にするのではなく、まずは股関節を曲げたときの詰まり感への対応から始めました。変化を確認しながら、運動療法へ段階的に進めました。
股関節周囲の施術
股関節前方とお尻の筋肉をリリースし、股関節の牽引を実施。太ももの前側にも施術を行い、曲げたときの状態を確認しました。
お尻の筋肉を働かせる
横向きで中殿筋を働かせる練習から始め、クラムシェル、膝にボールを挟んだヒップスラストを追加しました。
片脚立ち・歩行の練習
鏡で骨盤の傾きを見ながら片脚で支える練習を実施。7〜8回目は実際の歩行動作の練習に重点を移しました。

施術の詳細:初回は大腿直筋の反回頭、小殿筋、中殿筋の順にリリースし、股関節牽引と大腿四頭筋のリリースを組み合わせました。ヒップスラストでは、膝の間のボールを利用して大殿筋下部の収縮を意識していただきました。
初回から8回目までの経過
最初から順調に痛みが減り続けたわけではありません。来院時の症状には波がありましたが、少しずつ生活動作に変化がみられました。
- 初回施術後詰まり感は3/10に
股関節の詰まり感は10段階で3程度に軽減。まだ靴下は履けませんでしたが、足を身体へ引き寄せる動きが広がりました。
- 2回目来院時症状が6/10に戻る
前回施術後より症状は強くなっていましたが、ご本人は初回よりかなり楽になったと感じていました。靴下を履く動作と歩行時の骨盤の動きには、まだ大きな変化はありませんでした。
- 3回目来院時痛みは3/10に
靴下を履く動作は、もう少しでできそうという段階に。骨盤の右スウェイやトレンデレンブルグ徴候は残っていました。
- 6回目靴下を無理なく履けるように
来院時には難しかった靴下を履く動作が、無理なくできるようになりました。
生活動作の変化 - 7〜8回目歩行の練習を中心に
右脚で体重を支える際の骨盤の動きに取り組みました。骨盤の傾きや右スウェイを意識した練習を続けました。つま先が外へ向く歩き方は残っていました。
- 8回目足の爪切りもできるように
足の爪を切る動作も可能になり、ご本人が目指していた日常生活の目標を達成しました。今後は自宅で習った運動を続けていく方針です。
ご本人の目標を達成
※初回の数値は「詰まり感」、2〜3回目は「症状・痛み」の申告です。測定条件が同一とは限らないため、数値を直接比較して施術効果を断定するものではありません。4〜5回目の詳細は省略しています。
靴下を履くと股関節が痛む、歩くと足の付け根がズキッとする。そんな症状がある方は、今お困りの動作からご相談いただけます。
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担当施術者が大切にしたこと
今回、靴下を履く動作に変化が出始めても、歩くときには骨盤が右へ流れ、片脚で支える際の不安定さが残っていました。そこで、股関節周囲の筋肉を働かせる練習に加え、鏡を使った片脚立ちと歩行練習を続けました。
こうした歩き方が痛みの原因だったと決めつけることはできません。ただ、股関節そのものの状態と、体重を支えるときの動きの両方を見ていくことが、この症例では大切だと考えました。
靴下と爪切りの動作はできるようになり、月1回の通院へ。ご本人も自宅で教わった運動を続ける方針です。トゥーアウト歩行は引き続き確認する課題です。
股関節の痛みについて、さらに詳しく
同じように股関節が痛む場合でも、必要な評価や対応は異なります。症状の考え方や初回の流れは、こちらでご案内しています。
※医療機関での検査・説明については患者様から伺った内容です。当院による医学的な診断を示すものではありません。急に強い痛みが出た、体重をかけられない、発熱があるなどの場合は、医療機関での診察が必要です。

