走った後の膝痛で、10km大会を諦めかけていた40代女性の症例
走る距離を増やした頃から、ランニング後に膝のお皿の下〜やや内側が痛むようになりました。
特につらかったのは翌朝です。
椅子から立ち上がろうとして足に力を入れた瞬間、膝にズキッとした痛みが走ることがありました。
動き始めると少しましになるものの、少し休んでまた走ると、また痛む。
そんな状態を約6か月繰り返していました。
来院時には、2か月後に10kmの大会を控えていました。
痛みが続いていたこともあり、最初は出場を諦めようかとも考えていたそうです。
それでも、
「2か月後の10km大会には出たい」
という気持ちは強く持っておられました。
そこで今回は、痛みを追いかけるだけではなく、少しずつ走る距離を戻しながら、10kmを走れるところまで持っていくことを目標に進めました。
※掲載許可をいただいた症例です。
来院までの経緯
膝の痛みが続いていたため、整形外科を受診しています。
レントゲンでは大きな異常はみられず、特に診断名はつかず、「しばらく様子を見て」と言われていました。
ただ、走る距離を少し増やすと、また膝が痛む。
走るのを完全にやめていたわけではなく、少し走っては痛み、休んでまた走るという状態を繰り返していました。
そんな中、知人から当院を紹介され、来院されました。
2か月後には10kmの大会を控えていました。
一度は出場を諦めようかとも考えていたそうですが、
「やっぱり10kmの大会には出たい」
という気持ちは強く持っておられました。
初回の評価
痛みが出ていたのは、膝のお皿の下からやや内側でした。
その部分には押したときの痛みがあり、初回はわずかに熱感もありました。また、膝は最後まで伸びきりにくい状態でした。
ときどき「ポキッ」と音がすることはありましたが、音が鳴るときの痛みや、膝が引っかかるような感じはありませんでした。
段差を上るときの動き

日常生活では、階段の下りよりも上りで痛みが出やすいとのことでした。
実際に段差を上ってもらうと、膝がやや内側へ入り、足元も内側へ倒れやすくなっていました。
膝が内側へ入りすぎないようにすると、段差を上るときの痛みが軽減。
さらに、足元の回内を抑えた場合にも、同じように痛みに変化がありました。
股関節や身体の状態
膝以外にも目を向けると、
- 股関節が後ろへ伸びにくい
- お尻の筋力が十分に使えていない
- ハムストリングスの硬さ
- ふくらはぎの硬さ
- 胸椎の動きにくさ
- 反り腰傾向
などがみられました。
歩行では足先が外を向きやすく、股関節も後ろへ伸びにくい状態でした。
ランニングシューズと足元
普段履いていたランニングシューズは、足に対してサイズが大きく、カーボンプレート入りで前足部が曲がりにくいタイプでした。
そこで、足の長さだけでなくウィズも測り、普段使っているシューズとの合わせ方も見直しました。
今回の状態をみると、膝の痛む部分だけではなく、段差での膝の向き、股関節の動き、足元、シューズまで含めて考える必要がありました。
この方に行った対応
初回は、膝のお皿の下〜やや内側に出ていた痛みへの施術とあわせて、伸びにくかった膝や股関節、ふくらはぎの硬さにも対応しました。
膝まわりへの施術

膝のお皿の下には圧痛があったため、膝蓋下脂肪体周辺へ超音波を使用しました。
超音波後には、押したときの痛みが減り、段差を上るときの痛みも少し軽くなっていました。
また、ハムストリングスとふくらはぎの動きが硬く、膝も最後まで伸びにくかったため、動きが滑らかになるように手技を行いました。
その後、膝はかなり伸びやすくなりました。
ただ、段差を上るときの痛みは、その場では大きく変わりませんでした。
股関節や身体の動きへの対応

股関節が後ろへ伸びにくく、胸椎の動きにも硬さがあったため、股関節まわりのストレッチや手技、胸椎の動きを出す施術も行いました。
初回から、
- 体幹を動かす運動(トランカール)
- ハムストリングスのストレッチ
- お尻を使う運動(仰向けでのヒップスラスト)
を取り入れています。
その後は、走れる距離や膝の状態に合わせて、
- ステップアップ・ステップダウン
- 片脚スクワット
- ヒップヒンジ
- 臀筋やふくらはぎのトレーニング
- バランストレーニング
- ランニングフォームの練習
へと少しずつ負荷を上げました。
シューズとインソールの見直し
使っていたランニングシューズは足に対して大きく、前足部も曲がりにくいタイプでした。
初回に足長とウィズを測り、サイズを合わせたうえで、前足部が曲がりやすく、踵まわりがしっかりしたタイプへ変更しました。
あわせてインソールも処方しています。
シューズを変えて歩いてもらうと、歩幅が広がり、股関節も後ろへ伸びやすくなりました。
本人からも「歩きやすい」と話があり、その後のランニングでも使用してもらいました。
走る距離も一気には戻さず、3km、5km、8kmと段階的に伸ばしていきました。
その後の経過
2か月後の10km大会を目標に、 走る距離を少しずつ伸ばしていきました。
来院前、翌朝に立ち上がるときに出ていた 「ズキッ」とした痛みを10として比較しています。
初回
来院前の痛みを10
走った後に膝のお皿の下〜やや内側が痛み、 翌朝、立ち上がろうとして足に力を入れたときに ズキッと痛む状態でした。
4回目
3km
3kmまで走れるようになり、 走った後や翌朝の痛みもかなり減ってきました。
7回目
5km
距離を5kmまで伸ばしました。 走った後と翌朝には、まだ少し痛みが出ることもありました。
9回目
8km
8kmまで距離を伸ばしても、 少し痛みが出ることはあるものの、 ほとんど気にならない程度になっていました。
10回目の来院後
10km大会
約2か月後、予定していた10km大会に出場しました。 走っている最中は膝の痛みをほとんど気にすることなく、 10kmを完走しました。
翌朝には少し痛みが出ましたが、 来院前を10とすると 2/10程度 でした。
現在
次の目標はハーフマラソン
大会後もランニングを続け、 少しずつ距離を伸ばしています。 膝は、たまに違和感が出る程度です。
現在は3週に1回ほど通院し、 次のハーフマラソンに向けて ランニングフォームや身体の状態をみています。
「最初は大会を諦めようと思っていたけれど、 挑戦できて本当にうれしかった」
「次はハーフマラソン。 まだ身体の使い方にも課題があるので、 そこも頑張りたい」
※当院でみられた一症例です。 症状や身体の状態、経過には個人差があります。
この症例で大切にしたこと
今回、膝の痛む場所だけを見ていても分からないことがありました。
段差を上るときには、膝が内側へ入りやすく、足元も内側へ倒れやすい動きがありました。
その動きを少し変えると、段差での痛みも軽くなりました。
また、股関節が後ろへ伸びにくいことや、履いていたシューズが足に合っていなかったこともあり、走るときの身体の使い方や足元まで含めて考える必要がありました。
もう一つ大事にしたのが、痛みが減ったからといって、いきなり10kmまで戻さなかったことです。
まず3km、次に5km、そして8km。
距離を伸ばしたあとに痛みが出ることもあったため、走った後や翌朝の膝の状態を見ながら、その都度距離や走る間隔を調整しました。
目標は、膝の状態を見ながら走れる距離を戻し、2か月後の10km大会に出ることでした。
10kmを完走した現在もランニングを続けており、次はハーフマラソンを目標にしています。
膝の痛みについて、
あわせてご覧ください
走った後の膝痛について、 もう少し知りたい方はこちらも参考にしてください。
走り続けたいけれど、
膝が気になる方へ
- 走った後に膝が痛む
- 距離を伸ばすと、また痛くなる
- 大会が近いけれど、このまま走っていいのか不安
膝だけでは分からない場合は、
走り方や股関節、足元、シューズまで必要なところを見ていきます。
ランニングを続けながら膝の状態を整えていきたい方は、
一度ご相談ください。
症状名や施術内容が分からない段階でもご相談いただけます。
