テニス・日常生活での肘の外側の痛み

「テニスのバックハンドストローク」「日常生活で物をつかんで持ち上げる」「パソコンのキーボードを打つ」などの際に肘の外側が『ズキッ』と痛む!
もしかするとその症状は『テニス肘』(外側上顆炎)かもしれません。
「テニス」とついていますが、テニスだけではなく日常生活など様々な場面で起こります。
テニス肘は使えば使うほど悪化していきますので早めの処置が大切です。
『テニス肘(外側上顆炎)』とは?

テニスをする方に多く起こることからテニス肘と呼ばれています。
上腕骨(腕の骨)の外側上顆という肘の外側の出っ張った部分に、手首を反らしたり、指を伸ばしたりする筋肉が付着していて、その筋肉の根元(腱)の部分に炎症が起きたものをテニス肘と呼びます。
ほとんどの場合は手術せずに改善していきますが、日常生活でよく使うことが多い部位の為、発症すると治るのに時間がかかるのも特徴です。
セルフチェック
- 肘を伸ばしたまま、手首を甲側に曲げるのに抵抗して、手首を反らそうとすると肘に痛みが出る

- 肘を伸ばしたまま、中指を上から抑えるのに抵抗して、指を反らそうとすると肘に痛みが出る

- 肘を伸ばしたまま、椅子を持ち上げると肘に痛みが出る。

上記で1つでも当てはまるものがあれば、テニス肘の可能性が高いです。
我慢せずに、早めにご相談ください。
原因
原因ほとんどはオーバーユース(使い過ぎ)によって起こります。
テニスでは、ラケットを振る動作を繰り返し行うことで腱の付け根にストレスがかかり炎症を起こします。
始めたばかりでラケットの芯の部分でうまく打てない・手打ち・ガットが硬いなどが原因になることもあります。

テニス以外でもラケットなどを使う競技(卓球・ゴルフ・バドミントン)、日常生活の腕に負担のかかる動作や腕を酷使する職業(運送業・デスクワーク・大工・料理人など)でも発症することもあります。
「仕事で重いものを持つ」「長時間のデスクワーク」など繰り返し腕に負担がかかり続けることで慢性的に疲労が蓄積し、炎症が起こります。
また、加齢などで筋力が低下することや腱が弱くなることによって、スポーツや日常生活で腕を酷使していなくても徐々に起こる場合もあります。
整形外科では
症状が軽い場合は、痛み止めの飲み薬やシップなどが処方されます。
痛みが強い場合はステロイド注射や理学療法などで経過を見ていくことが多いです。
手術を行うケースはほとんどありませんが、症状が変わらない場合は、ごくまれに手術を行うこともあるようです。
当院の施術
整骨院では薬の処方や手術などは出来ないため、物理療法・手技療法を中心として施術を進めていきます。
患部を安静に保つ
原因となっている動作・作業を中止します。
手技療法
原因となっている前腕の筋肉・関連している肩や背中の筋肉にアプローチしていきます。
アイシング
急性期(受傷後24~48時間ぐらい)で炎症の強い場合は患部を冷やします。
ストレッチ
前腕の筋肉のストレッチを行い、柔軟性を出していきます。
超音波療法
超音波を患部や関連している筋肉に当てます。
テーピング・サポーター
テーピングやテニス肘用のサポーターを前腕部につけます。
筋力トレーニング
急性期(受傷後24~48時間ぐらい)が過ぎたら前腕の筋肉のトレーニングを行います。
自身の動作の見直し
手や腕を使うためには、体幹の安定性・柔軟性が必要です。それらが低下すると、末梢の手首や肘などの負担が増加します。動作を見直し、出来る限り負担がかからないように指導していきます。
テニス肘の予防
テニス肘の予防は極力手を使わないことが1番です。
その他にはこのようなケアをすると効果的です。
アイシング
腕を使いすぎて痛みが出た時や熱感のある場合はアイシングが有効です。
ビニール袋に氷を入れ、タオルを巻いて痛みや熱感のある場所に当てましょう。
ストレッチ
日ごろから、腕の筋肉が緊張しないようにこまめにストレッチを行いましょう。
スポーツや仕事の前後・空き時間に下の3つのストレッチにチャレンジ!
1⃣-1 肘を伸ばしたまま、①手首を内側に捻り(親指を下に向ける)②手の平側に曲げる。

↓さらに
1⃣-2 中指を掴み、手の平側に曲げる

2⃣イスに座り、手の甲を座面につけて手首を手の平側に曲げる

3⃣肘を伸ばしたまま、手のひらを下に向け、反対側の手で手首を手の平側に曲げる。

※注 無理なく、少し気持ちいいぐらいの強さで行いましょう。
最後に
テニス肘はスポーツ・日常生活などでよく起こる疾患の一つです。手や肘はなかなか安静にするのは難しく、使えば使うほど症状が悪化していくことが多いため、早期に適切な処置が大切です。決して無理はせず、痛み・違和感があればすぐに当院にご相談ください。
参考文献
公益社団法人 日本整形外科学会 「テニス肘」